【レビュー:名古屋勝利!】名古屋グランパス vs 徳島ヴォルティス ルヴァン杯第3節

グランパス

J2へ降格した徳島との戦い。

この試合は力の差を見せつけて完勝することを信じていました。

しかし、実際の試合内容は・・・。

試合前のスタメンと展望 → 【スタメン】vs 徳島ヴォルティス

徳島の杉森と、児玉が元名古屋の選手です。徳島は柿谷が在籍したチームですね

前半:徳島の組織力に圧倒される

名古屋は左に相馬、右にマテウスと、昨年のフォーメーションで戦います。試合序盤、DFラインを上げて前からプレッシャーを掛ける名古屋ですが、徳島にかわされます。

徳島は水曜日の試合から7人を入れ替えた、若手も多いスタメンでした。

しばらく膠着状態が続いたあと、試合の流れは徳島に傾いていきます。

名古屋の中途半端な組織

この日の名古屋も、相変わらずがんばって走って追いかけるだけの中途半端な守備でした。

全選手が組織的に連動して動き、敵選手のパスコースを消す動き、なし。

激しいデュエルでボールを奪うプレー、なし。

ただただ消耗してしまう戦い方がこの日も繰り返されました。

また、徳島の両サイドがサイドラインぎりぎりまで幅を取り、名古屋の守備は中央を固めるポジションだったため、終始サイドへのパスで苦しめられた。どちらかのサイドへ限定させた方が良かったのではないでしょうか。

徳島の連動性と運動量

一方、ポジショナルに動く徳島の選手は名古屋の選手間でフリーになり、かなり自由にボールを回されます。危ない場面も何度も作られました。

さらに徳島の前からのプレッシャーも効果的で、名古屋の攻撃は停滞します。

時折名古屋も徳島ゴールへ迫りますが、崩し切るところまでは至りません。

苦しみながらも無失点で前半を切り抜けます。

後半:冴え渡る名古屋のプレス、2得点で勝利!

後半、金崎に変わって酒井がトップに入ります。

プレス戦術で徳島を追い込む

徳島の運動量が減り、プレスがやや弱まり、名古屋に余裕が生まれつつありました。そして、今度は名古屋が徐々に守備の圧力を高めます。

そして、とうとう念願のプレス戦術が展開されました。マンツーマン気味に徳島の選手をつかみ、ボールホルダーへプレッシャーを掛け、ボールを奪っていきます。

前半終了間際あたりから、その兆しはありました。開幕から、いや、開幕前から期待していたプレーがやっと見れました。

前半の名古屋は攻められない、守れないの手詰まり状態でした。しかし、プレス戦術で徳島の自由を奪ってからは、攻撃でも徳島を押し込み続けました。

徳島の運動量、インテンシティが低下したこともあり、完全に名古屋の流れになりました。

攻撃へも波及するその影響

63分、相馬に変わって柿谷投入です。

プレス戦術の有効なところは、守りの戦術ながら、ハマったときに敵の守備組織が崩れるので、攻撃面も活性化されることです。

プレッシャーをかけられなくなり、ボールを奪われバランスを崩した徳島に対して、効果的な攻撃を名古屋が繰り返しました。

2得点と、待望の勝利

そして生まれた、酒井と柿谷のゴール。

1点目は柿谷のダイレクトパスからレオシルバが仙頭へパス、仙頭もダイレクトで酒井へつなぎ、酒井が正確にゴールへ流し込みました。

2点目は宮原が敵GKへプレスをかけ、さらに相手DFへ稲垣がプレッシャーをかけてこぼれたところを柿谷が拾い、冷静に敵DFをかわし、GKの股を抜いてシュート。

名古屋が本当に強いチームに生まれ変わるためには、この方向性しかないと思います

今日はJ2所属の徳島の運動量が落ちたことも、名古屋の攻勢に大きく影響しました。

真価が問われるのは、来週から再開される、ガンバとのリーグ戦からです

良かったところ

後半に見せたプレス戦術

この戦い方こそが今期の名古屋に期待されているものだと思います。攻撃面へも好影響を及ぼしました。今日は徳島の失速も有り、後半は一方的な試合になりました。

2得点と柿谷の攻撃面のプレー

今期なかなか得点が奪えなかった名古屋ですが、この日は酒井と柿谷という攻撃の主力の二人がそれぞれ得点を決めました。1点目はきれいな連携攻撃から、2点目は柿谷がうまさを見せました。この日の柿谷は攻撃ではそのセンスを十分発揮しました。守備にもしっかり走り、勝利に貢献しています。あとは守備強度を向上させ、しっかりとデュエルで戦えるようになれば、レギュラーになってもおかしくない選手です。この一年でそこまで変化できることを期待しています。

藤井が見せたボールを奪いに行く姿勢、攻撃への関与

前半、ボールを奪いに行く選手が少ない名古屋の中で目立ちました。また、ボールをとったらそのまま攻撃に移るプレーも見せました。徐々にプレーの幅を広げている印象です。

吉田 温紀の初出場

1分にも満たない時間でしたが、Jリーグ初出場を果たしました。もう少し長い時間見たかったですが、これから徐々に出場が増えてくると思います。

改善したいところ

前半の中途半端な戦い方

もし、体力の消耗を避けるための戦い方だったとしたなら、問題ないのですが。プレス戦術のない、中途半端な戦い方でした。せめて決定機を与えないような、要所だけは抑えた守備が必要でした。

攻撃時のサポートの少なさ

特に前半ですが、徳島の選手の方が人数をかけてボールへアプローチをするため、名古屋の選手は必然的に手詰まりになりました。周囲がサポートをするのか、あるいはロングフィードを蹴るポイントを決めておくのか、何らかの対応が望まれます。

チームのスタイル:最適解はプレッシングサッカー

この先は私の考えをうだうだ書き連ねます。

ポゼッション

ポゼッション(パスをつなぎ続けて相手にボールを渡さない戦術)が、長くボールを持つことによって敵の攻撃を防ぐ戦術だと声高に唱える人が多くいます。ですが、そのレベルのポゼッションを構築するには、はっきり言ってリーグ随一の選手を全ポジションで揃える必要があると思います。それだけの選手がそろわなければ、ボールを回し続けられないのです。つまり、普通のチームが目指してしまうと、相手にボールを奪われないという前提が成り立たないのです。

プレッシング

一方、プレス戦術はタフに走れて、デュエルで戦える選手が組織的に連動して動ければ成立します。そして、ボールを奪った瞬間の敵チームの守備の乱れをつけるので、攻撃しやすい状況も生まれます。こちらも実は攻守一体の戦術なのです。

ちなみにこの試合は、前半の徳島のプレスが効果的だったことと、後半に徳島が運動量が減り失速したこともあり、前後半で別の試合のような内容になりました。

ポジショナルプレー

攻撃的戦術では、今はポジショナルプレー(全選手がどこに動き、どこにポジションを取れば効果的かを常に考え、ポジションを移動しながらプレーする)が最も有効だと思います。しかし、この戦術もボールを扱う技術が必要となるため、求められる選手のレベルは高いですし、構築には時間がかかります。

前半の徳島のプレスを回避するには、このポジショナルプレーが名古屋に必要でしたが、今の名古屋にそれはありません。

今期の名古屋に期待していること

このブログの最初から書いていましたが、高い守備力(少なくとも必死で守備に走った)という特徴があり、堅守速攻というイメージの長谷川監督が就任した今期、最優先で取り組むべきはこのプレス戦術だと言い続けていました。わかっている人は多分みんなそう考えていたと思います。

今のままの守備力で攻撃的なチームを作ろうとしたら破綻するのは火を見るよりも明らかだったからです。

ここまでの試合では、攻撃面の組織づくりに重点を置いていたようですが、今日の後半はやっとプレス重視に変わりました。

アグレッシブな守備がアグレッシブな攻撃につながる

この試合のように、プレス戦術がハマれば得点を奪える選手はそろっています。

中途半端な守備のまま、中途半端に攻撃を構築するよりも、圧倒的に負けにくくなりますし、むしろ勝てる試合も増えるはずです。

アグレッシブな守備は、自動的にアグレッシブな攻撃につながります。しかもある程度リスクは低く抑えられます。

逆に中途半端な攻撃では、敵チームのプレスを回避できず、強烈なカウンターをくらうだけです。リスクしか生まれません。

今期の戦い方と、来季以降

今年一年は強固なプレス戦術の構築と、そこからの速攻のレベルを上げるだけで十分上位陣とも戦えます。

リーグ優勝を見据えて攻撃面を構築するのは、来年以降で十分です。

本当に強いチームになるために、この一年はプレス戦術の土台づくりに集中して欲しいと思います。

それだけでも十分上位に入れる選手層だと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。これからもたくさん記事を書いていくために、少しだけご協力ください。下の2つのバナーをクリック、もしくはポチッっとお願いします(名古屋グランパスの人気ブログの一覧画面が表示されます)。

にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ

コメント