総評:拮抗した試合も、相手選手の退場で名古屋のワンサイドゲームへ
ホームに京都を迎えたナビスコカップ第一戦、序盤は京都やや優勢でしたが、名古屋が先制。
互いに中盤からしっかりと守備組織を敷いて球際の攻防も激しい試合でしたが、前半43分に京都の川崎が2枚めのイエローカードで退場。
しぶとく粘る京都でしたが、次第に名古屋の攻撃を抑えきれなくなり、最終的には名古屋が6対1で大勝という結果になりました。
序盤のチャンスにゴールを決めた名古屋と決めきれなかった京都、そして退場。後半にウタカを投入して勝負に出ようとしていたと思われる京都の試合プランがことごとく崩れた試合となりました。
スタメン:ほぼベストメンバー、やや攻撃的か
⚽️スターティング11⚽️
— 名古屋グランパス / Nagoya Grampus (@nge_official) June 4, 2022
🏆YBC #ルヴァンカップ プレーオフステージ 第1戦
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見切れているサブは阿部、吉田温紀、石田、齋藤、金崎です。
負傷のランゲラックに代わり、GKは武田です。左WBは相馬と、やや攻撃的です。吉田がいないですね。
【LCプレーオフ第1戦vs名古屋】
— 京都サンガF.C. (@sangafc) June 4, 2022
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こちらが京都です。ウタカがサブです。後半勝負でしょうか。
前半:互いに中盤から厳しい守備、勝負を分けた決定力と退場
互いにプレスを掛け合う序盤はやや京都優勢でした。名古屋の選手がDFラインに吸収されがちな悪い時間帯もありました。
京都は決定機も作り、ここできめていれば京都ペースで進む可能性も高かったです。
しかし、ウタカがいない前線に決定力が欠けていました。
一方の名古屋は、15分に中谷の縦パスから、マテウスがドリブルからチャンスメイクし、精度が高くシュートを打ちやすいラストパス。ゴール前にしっかりと走り込んだ稲垣が正確に決めて先制です。
序盤から強度高く戦う名古屋の、勝ちパターンである早い時間の先制点を決めました。
ここからは名古屋の守備組織がしっかりと連動して京都を抑え、一進一退の白熱した攻防が繰り広げられます。
終盤は京都の攻撃に名古屋の中盤が下がりすぎる悪い時間帯も再発しましたが、42分の川崎の退場で、ゲームの流れは決定してしまった印象です。
後半:名古屋2点目も粘る京都が反撃。危ない展開に見えたがワンサイドゲームへ
一人少ない京都も粘る展開でしたが、48分、名古屋の攻撃からマテウスの折り返しを再度稲垣が決めて2点目。試合は決したかに思いました。
しかし、後半に運動量が減るのも今期の名古屋の特徴。
一人多いながら、京都にペースを握られます。
一人多く、2点差。早めに選手交代をして、運動量を増やして危なげなく勝ちたい試合に感じました。
そんな中、元名古屋の山崎にゴールを許します。DFラインに人数が余っていても、中盤のチェックが甘くて自由なプレーを許してしまう名古屋の悪いところが出て失点です。
嫌な雰囲気になりましたが、63分にCKから丸山が得点。
64分、仙頭OUT→阿部IN
73分には京都のミスから酒井がボールを奪い、マテウスがゴール。
81分にも、京都クリアミスをマテウスがゴール。
86分、酒井・レオシルバOUT→石田・吉田温紀IN
最後にロスタイム、相馬がFKから直接ゴールです。新しいボールの特徴を利用したシュート。マテウスのシュートに似てきました。
結果は圧勝となりました。
良かったところ:大量得点、組織的な守備
今季初のゴールラッシュ!
対戦相手が一人減ったこともあり、終盤はゴールラッシュを見せました。
ミスを見逃さない、酒井やマテウスの前線からのプレス、そして奪ってからの速攻も効果的でした。
得点の時間帯も、試合序盤と後半開始早々と、理想的でした。
組織的な守備
終盤までウタカが不在でしたが、名古屋の選手が連動して組織的に守り、京都の攻撃を防ぎました。
一時的にMFがDFラインに吸収される良くない場面や、後半の運動量が落ちたシーンもありましたが、相手チームのパスコースを消し、厳しくデュエルしてボールを奪うプレーが見られました。
FWの守備で相手ボールを奪って得点につなげたシーンもあり、連動した守備のレベルは上がってきています。
各選手のいいプレーが目立った試合
森下の運動量、後ろに下がらない守備。レオシルバとマテウスのキープ力、ゲームを作る能力、稲垣の厳しい守備やゴール前に走り込み得点する部分、藤井の高さ、中谷のサポートの速さ、酒井のポストプレー。仙頭の安定したプレー。丸山も1対1など懸命にプレーしました。
相馬と酒井などの攻撃面の連携も良くなりつつあると感じました。
改善したいところ:苦しい時間帯の守備組織の維持、交代含めた戦い方
敵の攻勢の際の守備組織、中盤底を空けないこと
前半京都に押し込まれたときなど、中盤の選手がDFラインに吸収されるシーンも見られました。
特に疲労が出てくる後半は要注意です。
後ろに下がれば守りやすい心理だとは思います。前に出てかわされる不安もあると思います。
しかし、中盤の守備、特にDFライン前の中盤底ががら空きになると、強いチームなら確実に決定機につないできます。
FWが中盤の守備に入り、ある程度バランスを取れているシーンもありました。CBに3枚配置しています。MFは中盤の守備を維持する必要があります。
勝っているときの戦い方
これは以前も書きましたが、勝っている試合、勝てるであろう試合での采配面です。
2点リードで、一人多い状況。運動量の落ちてきた選手たち。
普通なら、早めの交代で運動量をキープし、安定した勝ちにつなげると思います。
しかし、長谷川監督はおそらく試合前に作ったプラン通りの交代策をとった印象です。
おそらく、しっかり守って安定して勝ち切ることより、追加点を奪う戦い方を志向しています。
結果的に、今日は成功しましたが、やや危うい戦い方だったと感じます。
また、今日の終盤の展開であれば吉田温紀や石田などはもっと早く出して経験を積ませた方が良かったと思います。
吉田温紀は相変わらず攻撃センスを感じさせます。守備もしっかり走っていました。動きと判断のスピードが上がれば、レギュラー争いに割って入れる素材だと感じました。
スタミナを維持する戦い方も
今日は特にリードをした展開だったので、もっと意図的に自陣でボールを回して時間を進めるプレーがあっても良かったと感じました。
京都の前からのプレスがあって難しい面もありましたが。
無理に攻めてボールを取られて敵に攻められる、プロとしてそういうインテリジェンスの低いサッカーからは脱却が必要です。
試合の展開や流れ、得失点の状況を踏まえた、勝つためのプレーを選択できる大人のチームへの成長を期待します。
所感:2試合目が不要になるような大勝。気を引き締めて組織力向上を!
今季初の大量得点・圧勝でした。
しかし、相手チームが一人減るまでは拮抗した戦いだったことは忘れてはいけません。
まだまだ危ないシーンも多かったです。さらなるレベルアップに期待します。
守備が整ってきたので、アグレッシブな攻撃の前提となる、サポートの質・量・スピードからレベルアップに期待します。
補足:パラグアイに完勝した日本代表にも通ずる、対戦相手の状況次第
少し話は逸れますが、先日の日本代表のパラグアイ戦、日本が完勝しました。
しかし、パラグアイがどれほど強いチームだったのか?が問題です。
選手層、コンディション、親善試合特有のインテンシティの低さなどで、強豪と言えるチームではなかったと思います。
あの相手にいいプレーができた選手だから、ワールドカップでも活躍できると考えてしまうのは間違っています。
特に活躍した鎌田については、本番で機能するかどうかが一番不安な選手です。
フィジカルコンタクトが弱く、チームのインテンシティを下げてしまうからです。久保も同様の不安があります。その点、堂安はまだデュエルでも戦えそうなので、本番でも活躍できそうな印象です。
久保については、それ以上にプレーの選択、判断を間違い続けているので今のままでは厳しい状況です。
鎌田を除いたフィールドプレーヤー9人全員がフィジカルコンタクトの強いチームなら、鎌田を使う余裕が出ると思います。しかし、今の日本代表は全員がインテンシティを上げて戦わないと強豪チームには対抗しきれません。
対戦相手はドイツやスペインですから。
鎌田や久保についての以前の記事です。課題は以前から変わっていません。
鎌田 → 三笘薫、旗手怜央、前田大然、香川真司、林大地、原大智、橋岡大樹、坂元達裕、鎌田大地
本気で鎌田を試すのであれば、少なくとも、次のブラジル戦のような本当に強いチームとの試合での起用が必要です。
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