1対1で延長戦を戦い抜いた両チーム。勝負の結果はPK戦に委ねられました。
ふと、嫌な予感が襲いました。
個人のキック力(精度とパワーの両方とも)と、相手との駆け引きの勝負。
全員守備では世界に伍して戦えるまでに成長した日本ですが、サッカーで最も基本的なこの2つの能力は明らかに欧州の強国、クロアチアに分があります。
さらにひときわ大きく写ったクロアチアGK。両サイドの隅までカバーしてしまうその能力に、なすすべなく敗れ去りました。
世界と互角に戦った選手たちには、感謝を送りたいです。本当に熱い戦いでした。
前半:久保欠場で逆に整ったチームバランス。先制して折り返す
この試合は、久保が体調不良で欠場。
これまで、強国相手に鎌田・久保の併用で守備力の低下を招き、前半に失点を重ねてきましたが、久保欠場で逆にチームバランスは向上しました。クロアチア相手に固い守備を見せます。
さらに、願ってもない先制点を奪います。
右サイドショートコーナーからのクロスを吉田が折り返し、これまで賢明に守備に走っていた前田がきっちりゴールを決めます。
酒井が負傷あるいは状態が良くないのであろう中で、伊東をウイングハーフに配置する苦しいフォーメーションの中で、相手を無失点に抑え、得点を奪った前半。
初めてリードする展開に、後半の采配が非常に難しい試合になったと感じました。
後半:遅くなった交代、同点に追いつかれ、決勝点を奪えず
ドイツ・スペインに勝利した試合は、負けている状況で、攻めるしかない中の早いタイミングの選手交代が幸運にもはまったものでした。
しかし、この日はリードを奪った状態。
交代をどうしていくか、非常に興味深いところでした。
バランスよく戦えていたので、早めの交代の判斷は難しい。
しかし、これまでの試合では早いタイミングの交代が、チーム全体の運動量と守備力を担保していた一方、交代が遅れたこの試合では徐々に守備の強度が下がっていったと感じます。
そして、その状態で守備に難を抱える鎌田の存在。今日も鎌田の甘いチェックの眼の前でクロスを上げられ、きっちりゴールを奪われてしまいます。
後半途中から三笘を投入し、明らかに違いを作り出し、惜しいシュートも繰り出しましたが、一人で試合を決めるまでには至らず。
同点のまま、延長線へ突入します。
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延長戦:粘り強く守りきるが、得点を奪えきれず。PKで惜敗
両チームとも交代選手を繰り出し、互いに固く守りながらも得点を伺った延長戦。
日本は何度も危ない場面を迎えましたが、選手一丸となってギリギリでゼロで抑えました。
そして、時折繰り出した攻撃で、クロアチアゴールに迫ります。しかし、あと一歩及ばず。
PK戦となり、冒頭に書いた通り、個の能力の差がもろに出て破れました。
しかし、延長戦においても、強豪クロアチアとごして戦った日本代表には、確かな成長を感じました。
采配:後半をゼロで守り切るという決断を下せなかった指揮官
ドイツ・スペイン相手に、後半の選手交代やフォーメーション変更で勝利をつかんだ日本。
確かに、森保監督の思い切った采配の結果ではありました。
しかし、その両試合ともに、前半に久保・鎌田を併用し、格上チーム相手に守備力を下げ、当然の如く失点を重ねたこともまた事実。そして、一歩間違えれば無謀な交代策となっていておかしくありませんでした。
さらに引き分けが最低条件であったコスタリカ戦では守備をおろそかにしすぎて敗戦も招いています。
もし本当に森保監督の采配がドイツ戦・スペイン戦の勝利へ導いくほど優れていたのであれば、独特の采配術があったのであれば、この日も後半から守備に重点をおく交代を実施していたと思います。
しかし、現実はリードした状況で果敢な判斷を下せず。守備強度が下がり、守備の穴であった鎌田をつかれて簡単に同点を許してしまいました。
ワールドカップ最終予選からの指揮内容・采配全体を振り返ると、内容は不合格、結果だけが合格という評価になると思います。
もし優秀な指揮官が率いていたなら、内容・結果ともに大きく違ったはずです。
と、いろいろ書きましたが、とてつもなく困難な日本代表監督の重責を全うしたことには敬意を評します。お疲れ様でした。
個人評:全員が賢明にプレーするも、好不調がはっきり出た試合
高評価
三笘:攻撃面のドリブル・パス・シュートで違いを作るだけではなく、この日も守備でボールを奪うプレーを見せる。明らかに、違いを作れる選手に近づきつつあった。
遠藤:最後まで衰えない中盤でのチェック。奪ってからの攻撃性。間違いなく日本の中心だった。
前田:献身的なプレーと、冷静に決めた先制点。働きに見合った成果をもぎ取った。
権田:決定的なシュートをセーブ。日本の守護神としてゴールを守り続けた。PKは致し方なし。
堂安:攻守に力強く、1対1で優位を保った。予選での2得点も含め、今大会の日本のMVPか。
谷口:この日も冷静なフィードが際立った。大舞台でチームに落ち着きを与えた。
及第点
長友:無難に守り、攻撃にも参加。しかし縦への怖さがないため、驚異とはなり得なかった。
吉田:精神的支柱として、チームを引っ張った。
田中:やや迷いながらのプレーだったか。状況的には勝負を決める働きが欲しかった。
伊東:チーム事情と不慣れなポジション配置により、不完全燃焼に終わる。それでも、チームのために戦い、攻守に存在感を見せてくれた。
鎌田:攻撃でチームを活性化させたが、失点の原因にもなってしまった。攻撃特化の選手であれば、守備でチームに負担を与える分、試合を決定づけるプレーが必ず必要。もしくは、もう1段の守備強度の向上が求められる。ほんとうの意味でのエースとなるには、さらなる成長が求められる。試合に決着をつけるという意味では、得点なし、アシストなし。そして2失点の原因となった、それが現実。
低評価
南野:攻守に違いを作れず。一人目のPKを外し、日本の敗戦を決定づけてしまう。この先も海外で戦うのであれば、フィジカル強化が必須か。
冨安:なんとか崩壊は防いだが、いつもより危ういプレーと、不正確なフィードが目立った。4年後はコンディションを整えた状態で迎えてほしい。
酒井:底力を見せたが、故障の影響は拭えず。万全の状態で見たかった。
守田:厳しい評価ではあるが、期待の裏返しでもある。世界と互角に戦える選手から、勝利を導ける選手に成長してほしい。
浅野:得点が欲しいシチュエーションだったが、結果を出せず。何か一つ武器が必要か。
4年後に向けて:指揮官の交代は絶対条件。選手には何が必要か?
先にも書きましたが、結果だけは良かった森保監督ですが、これまでの指揮内容は落第点だと思います。チーム力を向上させることができる監督への交代は急務です。
そして、選手個人としては、世界と戦えるフィジカルコンタクトの次に来るものは、PK戦で不足していることが浮き彫りになった、キック能力と駆け引きのうまさ。
さらには2対2や3対3の少人数での連携プレーの向上でしょうか。これは指導する側のレベルアップが必要で、主にユース年代の指導者のレベルアップが必要です。
長い間、日本代表を引っ張ってくれた、長友や酒井らの世代が徐々に代表から去っていく中で、新たな選手の台頭が待たれます。
最後に、選手・スタッフの皆様、長く苦しい戦い、本当にお疲れ様でした。そして、熱い試合を見せてくれて、ありがとうございました。
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