ルヴァンカップ、グループB第2試合の、試合レビューとなります。
試合結果
サンフレッチェ広島 2 vs 0 名古屋グランパス
残念ながら名古屋の敗戦となりました。
- 44分:満田
- 87分:ジュニオール
- 46分:仙頭→酒井、甲田→相馬
- 59分、長澤→レオシルバ、成瀬→宮原
- 78分、マテウス→齋藤
総括
この試合、速報記事にも書きましたが、組織的な連動性、運動量、インテンシティで広島に大きく差をつけられた印象を受けました。
・守備・・・前から強くプレスにいかない。結果リトリートでずるずる下がってしまう場面あり。
・攻撃・・・FWにはDFラインの裏を狙わせて走り込ませたが、そこに良いパスを出せなかった。
・プレス戦術への対策として、サポートの質・量を上げることができなかった。
・広島の運動量が勝り、多くの局面で数的不利な状況になった。
良かったところ
・甲田選手の攻撃面での活躍
甲田選手はファーストタッチが秀逸で、常に相手を外すプレーができていました。先週の試合でもそうでしたが、明らかな違いを作れる選手でした。
これからは、周囲の状況を把握した上で、ボールをもらう前から、次のプレーイメージを持てるようになって欲しいです。戦術的な動きもこれから身につける必要がありそうです。
また、Jリーグの中では、パスやシュートはまだまだレベルが低いので、徹底的に反復練習をして、まずはその精度を高めて欲しいところです。
とはいえ、そのドリブルは本当に魅力に溢れています。ゴールの近くでプレーさせて、ドリブルから得点につながる仕事をさせたい選手です。
・左サイドできれいにパスがつながり、チャンスを作った場面が何度かあった。
数名で連携し、きれいに崩したところは盛り上がりました。ラストパスの精度が高ければ得点が決まっていた可能性もあります。
・仙頭、稲垣、柿谷、相馬などが、パス・ドリブルなどで持ち味を発揮した。
攻撃時にセンスを感じさせるパスや、ドリブルがありました。得点につなげて欲しいです。
・吉田のデュエル無双
強かったです。そして、この試合でもしっかりフリーランしてました。
チームとしての戦い方、守備
守備に関しては、トップに柿谷を起用したことにより、最前線からのプレス戦術は封印となりました。
そのため、DFラインを高く維持するのが難しかったと思います。
それでも、MF、DFがある程度連動して囲い込み、なんとか守れていました。広島のミスにも助けられた面もありましたが。
しかし、高い位置から厳しくプレスにいかないために、全体的に守備の積極性、強くデュエルしてボールを奪う意識自体も低下した気がします。デュエルではなく、リトリートの守備が最初の失点につながったと思います。
この失点は、右サイドで敵と1対1になった成瀬がリトリートで下がりながら対応。稲垣がサポートに近づくが、二人共デュエルせず、相手選手との距離を詰めないままペナルティエリアへ侵入。ゴール隅へきれいにシュートを決められました。甲田選手もプレスバックせず歩いている状態でした。
また、FWが前に残ることが多くなり、フォーメーションの差もあり、中盤で数的不利になることが多々ありました。ボランチ2人だけで広大な中央エリアを走り回ってケアする場面も多かったです。
サイドバックが敵ウィングバックに釣り出され、ボランチがそのカバーへ入り、中央にスペースができ、攻められるパターンも散見されました。
ウイングに入った甲田、マテウスが高い位置にいたり、仙頭が高い位置を取ったりした際にそうなっていた印象です。
名古屋を本当の強豪チームにするためには、前線からの守備、プレス戦術こそが、今期最初にマスターするべきものだと個人的には考えています。この視点で見ると、柿谷選手を起用することにより、最優先事項が後回しになってしまっている印象です。
チームとしての戦い方、攻撃
長谷川監督がインタビューなどでも語っている通り、この日、柿谷やマテウスらのFWには、チーム戦術として、敵DFラインの裏へ走り込む役割が与えられていました。
問題は、広島の前からのプレスが厳しかったこともあり、特に前半は2人へパスを出せなかったことです。
さらに、広島のプレッシャーが強かったこともあり、ビルドアップ自体に難航しました。苦し紛れにパスが出せる選手へパスを出す場面が多かったです。
ランゲラックが敵につめられてボールを取られて、失点してしまった2失点目の場面がそれを象徴しています。広島の前からのプレスに、吉田は唯一空いていたGKのランゲラックへパス、ランゲラックがワンタッチした瞬間には、もう広島の選手がボールへ襲いかかっていました。
敵チームが前からプレッシャーをかけてくる場合は、それをかわすために、攻撃側のボールを持っていない選手も、相手のプレスと同等かそれ以上のサポートの動きが必要です。
その上で、敵の高いDFライン裏へのパスを出し、敵選手を分散させる必要があります。
裏を狙う前に、サポートの意識と運動量がまず不足していた気がします。
対戦相手に合わせた選手起用を
コロナもあり、時間的にも厳しい状況で、チーム作りは難しい状況だと思います。
スタメンレベルにある選手をうまくローテーションしていますが、ここまでの試合を通して、選手の選考方法について思ったことがあります。
Jリーグ、ルヴァン杯、それぞれの試合でも、対戦相手ごとのプレースタイルやチームとしての熟練度にかなり差が出ている印象です。
特に、組織化されたプレス戦術を実行できるチームには、それに対応するために運動量やデュエル能力の高い選手を起用しないと、チームとして戦えない印象を受けました。
難しい状況の中で、勝ち点を積み上げながらチームを構築するためには、選手起用はもう少し敵チームに合わせていった方が良いのではないかと感じました。
チーム作りの優先順位はどうするのか?
強いチームは、固い守備ありき、と私は考えます。なので、優先順位は守備が先、攻撃が後だと思います。
中途半端な守備の上に構築した攻撃力など、強いチームと対戦したら役に立たないことのほうが多い印象です。
なので、インテンシティが高い、デュエルで戦える、プレス戦術の構築が先です。その先にファストブレイクなどの攻撃が来るはずです。
そう考えると、強く守れる選手、戦える選手を優先して起用するべきだと思います。なので、何度か書いてきたとおり、私は現状であれば、柿谷よりも、金崎を押しています。ゴール前へのクロス、DFの裏をチームとして狙う面からも、トップの優先順位は金崎のほうが柿谷より高い気がします。
柿谷選手の起用法について
この2試合、長谷川監督は柿谷選手の攻撃面のメリットを優先し、守備面のデメリットには目をつむって使い続けました。
名古屋がボール支配率で常に対戦相手を上回り、パスで崩すチームであればそれで問題ないと思います。しかし、現状そうではないはずです。
さらに、結果が出ていればまだ良かったのですが、1分け1敗となってしまいました。
今年掲げる、チーム全体としてアグレッシブに戦う方針の根幹には、アグレッシブな守備が最優先で来るべきだと思います。
なので、守備面やインテンシティ面で弱い柿谷選手をそのまま起用することは、チーム自体の方針をブレさせてしまうと思います。
柿谷選手の弱点に目をつむるのではなく、フィジカル的に問題があるのであれば、例えば、20分や30分と時間制限をして、その時間内だけは全力で走らせ、激しくデュエルするような起用方法が良いのではと思います。
スーパーサブですね。時間を短くして、その分、出場している間のプレー強度を上げる作戦です。
当然練習でインテンシティを向上させて、徐々に出場できる時間を伸ばしていけば良いのではないかと思います。
柿谷の良さを出すためにチームを編成するのではなく、チームのワンピースとして柿谷を起用する姿勢が必要だと思います。
アグレッシブに戦える選手、走れる選手を優先して使う、という方針は、チームの基礎や連動性が固まるまでは貫いたほうが良いと思います。
以上、勝手に厳しい意見を書きまくりました。
でも、これも名古屋がもっと強くなって欲しいからです。
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