総評:理想を追い求めるも現実は厳しかった。現実的なプレーを求めたい
この日も名古屋は、長谷川監督と選手が望んでいる?であろうパスサッカーで攻めます。
パスがつながりチャンスになることはありましたが、決定的とまではいかずに得点は奪えません。
対する東京は徐々に名古屋の両ボランチへのプレッシャーを高めます。そしてそこでボールロストし、先制点を決められます。
その後も東京が追加点を重ね、名古屋も1点は返しますが勝利には届かず。
1分2敗、得点3に対して失点9と厳しい3連戦となりました。
根本的なことですが、明らかにパスを狙われているのにパスサッカーをする必要、あるでしょうか?
前半:パスサッカーを目指して攻撃するも、東京のプレスにからめとられ失点
長谷川監督が3年間続けてきたパスサッカー、ある程度はパスもつながり、チャンスも作ります。
守備もある程度連動し、序盤は名古屋の流れで進みます。
東京は中盤あたりからプレッシャーをかけて対応。
名古屋やや優勢でしたが、東京が狙っていた稲垣、椎橋のダブルボランチへのプレッシャーの中、稲垣が危険なパスを椎橋へ。椎橋がコントロールしきれずボールを奪われ、そのまま失点へとつながります。
ボランチがボールロストしては試合が成り立ちません。相手が明らかに狙ってきていたので、プレー判断を変えなければならなかったと感じます。
この失点で流れは東京へ。名古屋も同点を狙い攻めますが、東京の厳しい守備に得点には至らず。守備組織のレベルが東京の方が一段上だと感じました。
また、右CBとしていい動きだった原が負傷退場と、今後の試合に影響しかねないアクシデントもあり、ポジションは右CBに内田、右WBに和泉、シャドーには代わって入った浅野、という形になりました。
後半:逆転を目指すも追加点を奪われ万事休す。パスサッカーも相手を崩しきれず
逆転を目指し名古屋が攻めますが、東京のプレスも厳しく縦パスをことごとくつぶされます。DFラインの裏を積極的に狙いたいところでした。
相手DFに恐怖感を与えられたのはマテウスのクロスと裏抜けだけだった印象です。
50分過ぎからは東京のフリーの選手が目立ちだします。名古屋はマテウス以外、前節と同じメンバーだったため、疲労もあったと感じます。早めの交代で選手層の厚さをいかすべきでした。
東京は固く守りながら、カウンターを狙ってきます。
そして58分、東京がパスとフリーランで高く上げた名古屋の左サイドを崩し、クロス。これは内田がクリアしますが、そのボールが椎橋にあたり、跳ね返ったボールが東京選手の足元への絶好のパスに。ヒールで決められ、不運な2点目となります。
逆転を狙い前がかりになったところを、パスで見事に崩されたことがきっかけでした。名古屋の攻撃にはほとんど見られない3人目の動き。名古屋もこういった攻撃を練習で積み上げたいところです。
その後、椎橋が意地のヘッドで1点を返しましたが、試合終了間際に東京に3点目を入れられて敗戦。
守備組織のレベル、プレッシャーのレベルで東京に劣り、攻撃面でも連動性で劣った名古屋。負けるべくして負けた試合だったと感じます。
選手評:脅威となったマテウス、可能性を感じた浅野。ボランチは判断に課題
山岸:高い技術のダイレクトパス、アシストなどのプレーを見せるも、得点はならず。守備でもかなり走ったが。
マテウス:相手DF裏を最も狙い、チャンスを作った。鋭いクロスでもチャンスメイク。個人技に走り勝ちと思われているが、パスの判断も良いものがある。怖い存在だったはず。
和泉:原の負傷交代に伴い、前半途中からは右WBに。強度、技術、状況判断を備えた安定感のあるプレーを攻守に見せた。あとは決定的なプレーがほしい。反復練習をしてラストパスの精度を上げたい。
稲垣:1点目のきっかけとなる不用意なパスを椎橋に出してしまう。狙われている状況でこの判断は良くなかった。パスでつなぐという意思はいいが、パスを出してはいけない状況を判断する力は必要。中盤低い位置でボールロストするボランチでは試合が成り立たない。いつも通り攻守にハードにプレーしたが、終盤はさすがに疲労も見られた。
椎橋:こちらも東京のプレッシャーに失点のきっかけとなるボールロスト。東京に狙われていることを感じ取り、プレーの方向性を変えるべきだった。また、プレッシャーを受けるとパスの精度があからさまに落ちる。逆に後半途中から、プレッシャーが落ちた場面ではいいパスを出した。プレッシャーを受けないポジショニングができるか、プレッシャーを受けた際の逃げ道を用意できるか、攻撃時はこの点が重要になる。ヘッドで意地の得点を決めた。
内田:原の負傷交代に伴い、前半途中から右CBに。決定的なミスなく、また攻撃にも参加するが。オーバーラップもあったが中途半端。出し手を気にするのではなく、オフサイドになってもいいからスピードを出してDF裏へ走り抜ける動きが必要。
徳元:いつも通り仕事をこなした。マテウスとの関係がまだまだだが、オーバーラップは自分のタイミングで走っていい。マテウスは出せるときは出してくれる選手。ポジション的にマテウスと重なることで縦へ走るプレーが減っているのは少しもったいない気がする。
原:前半途中で負傷退場。ここまでいいプレーを見せていただけに、早期の復帰が望まれる。
三國:前半から途中までは個の強さを見せたが、終盤は不安定なプレーが目立ってしまった。極端なパスミスもあった。マルセロのプレッシャーか?それとも疲労のせいか。
宮:強さ、パスのレベルの高さを見せた。縦パスは一瞬で局面を打開していた。しかし、守備で後手に回った時のスピード不足も露呈した。高い位置まで上がった際は注意が必要か。
武田:何度か好守を見せた。失点についてはしかたがない。ビルドアップも無難にこなした。ロングフィードにスピードが欲しいか。
永井:途中出場し、守備のプレスからパス、フリーランとひとり気を吐いたが得点にはつながらず。
加藤:やはり状況判断に優れ、またパスの精度も高く、パススピードも適切。攻撃時に前に走る動きも見せたがパスは回ってこず。名古屋ユース出身選手に見られる動きで、複数名同時に起用されればなだれ込むような攻撃が見られるかもしれない。守備強度も問題ないため、今後はスタメンで起用したい。
森島:終盤に投入されるも、さすがに短時間では見せ場は作れず。攻守における質の高さと無尽蔵のスタミナは、先発で長時間使ってこそ、その価値が最大限発揮される選手。サブに置いておく選手ではない。
FC東京:作戦がハマり狙い通りの快勝か。全体的に名古屋より質が高かった
名古屋のダブルボランチへのプレッシャーでボールを奪いカウンターを決める狙いがハマり、先制。
その後も固く守りながら追加点も決め、狙い通りの勝利だったのではないでしょうか。
スタメンを大きく代え、序盤はぎこちなさもありましたが、個人技、守備組織、プレッシャーのレベル、攻撃時の連動性とそのすべてで名古屋を上回っていた印象です。
松橋監督初年度ですが、守備からしっかりと固めた手強いチームでした。
パスサッカーは状況に合わせて。柔軟に戦えることの方が重要。
試合開始から、流れをつかんで攻めましたが、東京のプレスにかかり失点。
その後も前がかりになったところで追加点を決められ、完敗となりました。
ボランチが狙われていたのは途中で気づいたはずなので、ロングボールを増やし、中盤の危険なつなぎは減らすよう指示が必要だったと感じます。
そもそも論ですが、状況判断に優れ、守備強度も高い加藤を先発起用すべきではなかったでしょうか。連戦で疲労もあったはずなので、稲垣、椎橋どちらかを終盤に加藤と交代で良かった気がします。
パスでのビルドアップ、パス攻撃はあくまで攻めるための手段の一つです。
名古屋がパスサッカーをその代名詞にする必要はありません。相手がプレスを狙うなら、DFライン裏へのロングフィードが刺さります。相手次第で柔軟に戦うための手段の一つがパスサッカーのはずです。パスサッカーに縛られる必要はありません。
また、攻撃の狙いも選手の発想次第で、複数人が連動して崩す形がほとんどありませんでした。特に両サイドの奥、相手DFラインの裏を狙う意図のある攻撃がほとんどなかったため、超決定機は作れませんでした。3人目の動きも数少ない回数だったので、少人数での連動したプレーからまずは取り入れてほしいです。
守備面でも、後半途中から相手選手をフリーにするシーンも目立ち、後手後手になることも多かったことが心配です。
チームの状況が良くないため、ひとまずは早く一勝を勝ち取り余裕を持ちたいところです。
チームの皆さん、お疲れさまでした。
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