【序盤の山場となってしまったセレッソ戦】勝つのはどちらか?

グランパス

5節にして山場を迎えたグランパス。果たして勝利をつかめるのか?

開幕から4試合で、1分3敗、勝ち点1で単独最下位に沈む名古屋。

得点4に対して、失点が11。得点はまだしも、毎試合複数失点という、守備面は壊滅的な状況です。

降格を逃れるためには、明日のセレッソ戦での勝利が、是が非でも必要な状況です。

ここで敗れれば、まさに降格の危険性も現実味を帯びてきます。また、長谷川監督の進退に影響があってもおかしくないでしょう。

まずはなぜここまで悲惨な状況に陥ったのか、考察したいと思います。

前提として:崩壊した守備組織。そもそも低かった守備レベル

長谷川監督就任当初から、散々私が書いてきましたが、名古屋の守備のレベルは低いです。組織的にも、強度的にも。

それでも、マッシモ終盤から昨年まで、そこそこ守れていたのは、5バック+2ボランチをベースとする、ある意味べた引きの人海戦術によるところが多かったです。

レベルの低い攻撃なら、この人海戦術で足止めされて相手がミス、そしてそこを超えてもランゲラックのスーパーセーブで防ぐ、という二重の安全弁が機能していました。まやかしの堅守の実態がこれです。

しかし今年は、そのまやかしを失うチームになりました。

私が考える、大量失点の要因を以下に挙げます。

1.新体制で改善したビルドアップ。そしてそれが大量失点への罠となった

一つ目は、DF陣の新戦力と、GKが武田に代わったことによる変化です。

原、宮、佐藤は期待通り、一定レベルの守備と、質の高いパスでビルドアップに貢献。そして、GKに入った武田も、パスも問題なくこなし、ビルドアップ面は確実に向上しました。

ただ、逆にこのことが大量失点の一因にもなったと感じます。

後ろでボールを回せる分、これまでのようなDFラインからのロングボールが減って、パスをつなぎボールは中盤を経由することが多くなりました。そしてそこで相手チームのプレッシャーを受けてボールロストしてしまう、改善によって起こってしまう悪循環、そういうシーンが増えたと感じます。

改善したビルドアップが、逆に危険な位置でのボールロストが増える要因の一つとなりました。

2.改善した攻撃意識。これも大量失点の引き金に

今年は、昨年以上にビルドアップでボールがつながるため、選手の意識、ポジション、プレーエリアがより攻撃的になっています。

リードされる試合も多く、それがさらに拍車をかけます。

これまで名古屋ゴール前を守っていた人海戦術による人垣が、消滅しました。

前線に取り残される攻撃陣と、後ろで組織ゼロで守らなければならない守備陣。そんなシーンが非常に目につきます。

3.選手の入れ替えによって低下した守備力

昨年まで最後尾に鎮座したランゲラック。

そのスーパーセーブは素晴らしく、年間勝ち点で10程度、彼によって積み上げられていたと想像します。

しかし、彼が去った今季、それはなくなります。

チームは代わりとしてシュミットを獲得しましたが、まさかのケガで長期離脱。武田も当然悪いキーパーではありませんが、ランゲラックと同等の守備力があるかと問われれば、それを求めるのは酷な質問です。

最後尾の防波堤が今年はありません。

DF陣のスピード不足

また、新しく入ったDF陣、原、宮、佐藤が、スピード面が弱く、それが失点に直結もしました。

フィジカルや強さは増しましたが、ことスピードという点に関してだけ言えば、昨年の内田・河面の方がまだ勝っていたと感じます。

対戦相手としては、FWにスピード勝負させるだけで有利な状況になります。

4.DF陣と、GKの連携不足

こちらも、選手が入れ替わったことにより間違いなくあると感じます。昨年の序盤も同様でした。

それでもDFラインは一定レベルを維持していると感じます。DFラインは比較的きれいに揃えられるシーンが多いです。

ただ、それを生かすための中盤のチェック、パスコースの限定などが甘いと感じます。不用意に高くしたDFラインは弱点にもなります。

また、GKの武田とDF陣の連携不足、コーチング不足は目につきますので、早期に改善したいところです。

5.シンプルに相手が強かった

これも外すことはできないと思います。

開幕からの4試合は、川崎、神戸、FC東京、町田と地力のあるチームとの4連戦でした。

長谷川監督の継続が決まり、対戦チームが決定した瞬間、最悪今の状況は予想できてはいました。

内容面まで加味すると、その予想をも下回ってしまう結果ではありますが。

それと共に、名古屋以外に特に状態が悪いチームがないことが、危機感を高めます。

6.崩壊する守備組織

最大の原因は、ずっと前から書いている守備組織のレベルの低さです。

特に今年は、試合後半、完全に守備組織ゼロになるシーンが多すぎます。

ボール保持者への厳しいプレッシャーなし、パスコースの限定もなし、相手チームに広大なスペースを与える。マンツーマンでマークにつくわけでもない。

ボール保持者へ二人でマークについても、ボールを奪いに行かない。

就任初年度から書いていますが、攻撃よりもまず、守備組織のレベルアップをするべきだったのです。

とにかく守備組織の再構築を。得点は今のままでも十分狙えるはず

天王山となるセレッソ戦。

互いに守備に問題を抱えるチーム同士、戦い方次第では名古屋にも勝機はあります。

選手・チームは今のやり方で問題ない、生みの苦しみだ、というコメントが多いですが、個人的には今のやり方は間違っていると思います。

守備組織の崩壊が最大の原因です。ここにメスを入れなければ、本格的に降格の可能性が高まると感じます。

狙い通りにならない攻撃も確かに改善の余地はありますが、今のやり方を続けてチームが崩壊する危険性も高まります。

とにかく、攻撃時の守備組織、カウンターへの事前準備、それと、引いて守った時の守備組織、これらの改善が急務です。

早急に、まともな守備組織を構築できるコーチを招集してほしいところです。

もしくは、思い切って監督を交代させることも視野に入れてほしいです。

個人的希望スタメン:ボランチには状況判断のいい加藤を使いたい

個人的には以下のメンバーで、守備重視の試合を展開してもらいたいです。

FW 永井、山岸、森島

WB 徳元、和泉(野上/菊地)

ボランチ 稲垣、加藤(椎橋)

DF 宮、三國、原(佐藤)

GK 武田

FWはやみくもにプレッシャーをかけるのではなく、山岸の判断でチェックに行けるときに連動してチェックを。当然全体で連動することが最重要。

また、低い位置での守備ではしっかりとボールを奪いに行く守備がほしい。ここを指導できるコーチを急いで招集してもらいたい。

右WBはどの3人でもいい戦いになると思う。守備を意識して和泉・野上が有力だが、得点を狙って、セレッソのDFラインの裏へのパスを狙うとすれば、菊地が最有力となる。後半の、勝負所で菊地を投入し、左足に期待か。

ボランチは守備の稲垣と、万能の加藤を。セレッソの中盤のプレッシャーがそこまで厳しくないので、椎橋スタメンでも問題ない。が、ここは加藤に期待したい。

DFラインは定番の3人で。三國も1対1の強さは戻ってきている印象。ただ、もしそれでも崩れるのであれば、中央に野上、という形を試してみたい。原と佐藤はコンディションのいい方を。

試合の流れは、0対0でしのぎ、後半途中でマテウス、浅野、パスの出し手として菊地らを投入して、最低1点を取る。最大の目標はセレッソに得点を許さないこと、という試合を期待したい。

ただ、おそらく長谷川監督とチームは今まで通りの攻撃的なサッカーで挑むでしょう。

そうなると、互いに打ち合う展開となり、どちらが勝つかは、時の運、になるでしょう。試合の流れによっては、大勝するかもしれませんし、大敗するかもしれません。先制点が大きなカギの一つになりそうです。

ここで負けてしまえば、降格の可能性が現実味を帯びてきます。

序盤に訪れてしまった、勝負の一戦、注目したいと思います。

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