【サンフレッチェ広島 vs 名古屋グランパス】2対3、圧倒的に押されながらもシンプルな攻撃で勝利

グランパス

それぞれ中2日、選手の疲労が影響したであろう一戦。

名古屋は、パトリック、椎橋、野上、内田らを起用し、リフレッシュを図ったメンバー。左右WBの守備力的には高い布陣でした。

試合開始早々に、パトリックが相手ミスを見逃さずボールを奪いそのままゴール。

さらに、パトリックが競ったこぼれ球、森島のクロスを稲垣がヘッドで突き刺し、追加点。

圧倒的に押される(前半のボール支配率は名古屋が15%)も2点先制。

しかし、そこから広島に2得点を許し、同点。

広島優勢でしたが、交代した永井とユンカーが泥臭く決勝点を奪う。

広島が最後までチャンスを作りますが、ギリギリで守り切り、見事勝利です。

チームの皆さん、お疲れ様でした。

前からのプレスと相手DF裏を狙うシンプルな攻撃で3得点

パスをつなぐ攻撃へのトライもありましたが、得点につながったのは、シンプルな攻撃ばかりでした。

やはり、ショートカウンター > 縦に速い攻撃 > パス攻撃による遅攻、この優先順位はサッカーにおいてゆるぎない真実です。

自分たちがボールを持つ試合でも、ショートカウンターや縦に速い攻撃を意図的に繰り出せるシチュエーションを作ることが必要と感じます。

やはりうまかったパトリックのチェイシング。いつスピードを上げるべきかがわかっている

1点目は、パトリックと森島の前線からのプレスが得点につながりました。

パトリックは足は速くないですが、チャンスと見た時の嗅覚と全力疾走は非常に効果的です。一定スピードで走ってしまう酒井などには、パトリックのチェイシングを見習ってほしいと感じます。

パトリックのポストのこぼれを森島が絶妙クロス→稲垣も素晴らしいヘッド

2点目はパトリックのポストのこぼれ球が森島に転がり、広島DFがやや気を抜いた瞬間。

稲垣が相手DF裏へ走り込み、そこへ森島が絶妙のクロス。

稲垣もここしかない、と言うコースへヘッドで流し込みました。

椎橋のDF裏へのロングパスから永井のシュート、こぼれ球を詰めてオウンゴール

3点目は、椎橋の相手DF裏への狙いが全てでした。途中出場の永井がしっかりと走り込み、こぼれ球へ永井とユンカー二人が詰めたことで、相手オウンゴールを誘いました。

非常にラッキーでしたが、ボランチが相手DF裏の急所へボールを出すシーンが少ない名古屋には非常に価値のあるプレーだったと感じます。

広島攻撃陣に苦しんだ守備。ユンカー復帰により守備力が下がっては意味がない

前半に2点をリードした試合。本来であれば失点を1以内に抑え、守り切る展開にしなければなりませんでした。

しかし、完全に押し込まれ、広島の攻撃を防ぐことは難しかったです。

FWから連動する守備の意識、しっかりと体をぶつけて厳しく守る姿勢は見られましたが、まだまだ向上の余地が大きいです。

広島の速く正確なパスに苦しんだ名古屋。レベルが一段上だった

この試合、印象的だったのは、広島の速くて正確なパスでした。

一発で縦へ、あるいは逆サイドへ速く正確なパスを通され、名古屋守備陣の対応が後手後手になるシーンが目につきました。

押し込まれた状態でも、パスコースを消しきれないことが多く、広島に余裕を持った攻撃を許しました。

ボールを奪いきるシーンは少なかった。ディレイだけの守備で守り切るのは厳しい

相手選手を囲い込み、ボールを奪いきるシーンもありましたが、回数は少なかったです。

広島のボールキープ、パスに対して、距離を詰め切れず、ズルズルと下がってしまうシーンの方が多かったと感じます。

そうなると、どうしても全体が下がり過ぎる悪い癖につながります。

DFラインをコントロールしながら、なるべく高いゾーンでボールを取り切る組織的な守備の構築が、やはり最優先事項です。

選手評:決定的な仕事をこなしたパトリック、キープできなかった倍井

パトリック:1点目のチェイス、2点目につながるポストと、長所を遺憾なく発揮した。

倍井:得意のドリブルでボールを奪われるシーンが多かった。キープできないならドリブラーとは呼べない。最悪でもクリアする状況判断が求められる。また、前からのチェイスも、本気で走らなければ本当にレベルの高いチーム相手には意味がない。

森島:広範囲に走り、攻守に貢献。2点目のクロスは絶妙の精度だった。連戦を戦い抜いたスタミナはやはり驚異的。

椎橋:3点目につながるロングボールは名古屋に必要だった攻撃。守備においては相手の前進を止める下がらない守備が欲しい。

稲垣:FWさながらの相手DF裏への走り込みで2点目を決めた。攻守にハードワークし勝利に貢献。

野上:苦戦するも、攻守にらしいプレー。強敵相手には右WBの第一候補でもよいと感じる。

内田:ポジショニングに苦戦し、パスコースを消しきれずにサイドで優位性を与えてしまう。粘り強く対応したが。武器を一つ作ればもう一段レベルの高い選手になれる印象はある。

三國:広島攻撃陣に対し、何とか対応。ビルドアップ面も良くなりつつある。全般的にレベルアップすれば代表の可能性も出てくる。着実な成長に期待。

ハチャンレ:最後尾で無双するイメージ。ドリブルの持ち出しやパスも良かったが、無理してつなぐプレーだけは無くさなければならない。

河面:厳しい守備で相手FWを苦しめられる選手になってきた。低く速く鋭いロングフィードを練習してほしい。

ランゲラック:失点はあったが、DF裏のボールなど含め、それ以外はしっかりと守り切った。

永井:相手DF裏を狙い、3点目につながるシュート。守備のチェイシングでも広島へプレッシャーをかけた。サイドチェンジも非常に良かった。

和泉:守備で精力的に走る。ただ、攻撃ではややテクニックに走り過ぎた。状況判断が最優先。また、森島へパスを出したシーンは目の前のDFを逆方向へ引き付けてからパスを出してほしかった。

中山:相手DFの裏狙い、ドリブルは良いが、やはり全般的な状況判断を向上させたい。サイドからの相手GKとDFの間を狙ったクロスは良かった。もう一段精度を上げれば必殺の武器になる。

ユンカー:パトリックとはタイプは違うがボールを納められるプレー。3点目にもつながるプレッシャー。守備のプレーをどこまで的確に実行できるかが、これからのチーム力に直結してくる。

広島:内容では圧倒し、2得点。それでもスキを突かれた3失点が勝負を分けた

広島は強かったです。

先にも書きましたが、パススピードが速く正確な縦パス、サイドチェンジなどが非常に印象に残りました。1本のパスで名古屋DFを切り裂きました。

決定機も多く作り、攻撃が悪かったわけではありませんでした。

では守備が弱かったのか、というとそうでもありません。前からのプレスに焦ったミスと、DF裏を狙われた中からの失点だけで、それ以外はしっかりと守れていました。

1失点目のミスが全てだったでしょうか。

値千金の勝利。ここからも守備を最優先にして積み上げを

ボール支配率では圧倒的に劣りましたが、それでも勝利する名古屋らしい試合でした。

守る意識と堅い守備があれば、勝利はつかめることがまた証明されました。

最優先は守備、この一点を長谷川監督には強く意識してほしいです。

復帰したユンカーをどうプレーさせるか。守備を免除してはチーム力は上がらない

ユンカーの復帰は喜ばしいことですが、組織的なサッカーについて考えると、素直に喜ぶことも難しいのが現実です。

現状では、明らかに守備のタスクを免除しているので、チーム全体の守備力は下がってしまいます。

永井、パトリック、倍井、また山岸の復帰も見込まれているはずなので、出場時間を短くし、しっかりと守備面でも走らせることが監督の役割だと思います。

あくまで、組織として強いチームを作らなければ、将来が見えなくなります。

質の高いサイドチェンジやロングフィードが必要。個人の技術が組織的攻撃力の礎になる

広島が厳しくプレッシャーをかけなかったため、ややぎこちなさは感じましたが、パスをつないだビルドアップや攻撃も観られた試合でした。レベルの高いサポートを全選手が意識すれば、徐々にレベルは上がるはずです。

気になったのは、名古屋のパス攻撃は短い距離のパス交換がメインになることが多いことです。スピードのあるボールでの正確なサイドチェンジやロングフィードがあれば攻撃の幅は大きく広がると感じます。

そしてそれは各選手のキックの能力に依存するものです。

攻撃を重視する長谷川監督が、この部分を強化しないことに私は疑問を抱いています。練習すれば確実にレベルが上がる部分です。

正確に、スピードも思い通りにパスをけれないでは、パス攻撃が成立するわけがありません。ハイレベルな基礎技術を大切にしてほしいです。

課題はこれから徐々に改善していくとして。

連敗を2で止め、しかも非常に価値の高い勝ち点3を獲得した試合でした。

次戦以降も、堅守速攻を軸とした強いサッカーを期待します。

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